メタバースの時代が来ています。
この仮想空間では何ができるのでしょうか?
今日はメタバースでも人気のディセントラランドに触れてみてください。
ディセントラランド(Decentraland)とは?
世界初の完全分散型メタバース(仮想空間)のことです。
ディセントラランド内を自由に探索できたり、土地を売買・開発することもできます。
Second LifeやMinecraftに大きく基づいています。

ディセントラランド|概要
運営会社 | Metaverse Holdings Ltd |
本社 | 中国、北京 |
設立年 | 2017年 |
一般公開年 | 2020年 |
ユーザー数 | 12,000人 (2020年3月時点) |
構成 | ETHチェーン (非中央集権型) |
使用通貨 | MANA |
ディセントラランド|これまで

- 2015年
ディセントラランドを設立 - 2017年8月
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)で約2,400万ドル調達 - 2017年12月
開発者が一等地を選ぶ「LAND」オークション初開催 - 2018年3月
ディセントラランドの土地マーケットプレイスがオープン - 2018年6月
LANDの売上はCryptoKittiesの2倍に - 2019年7月
カスタマイズ可能なアバターが販売開始 - 2020年2月
一般公開
ディセントラランド|誰がつくった?

プロジェクトリーダーAri Meilichと、テックリードEsteban Ordanoによって設立されました。
Ordano氏は、BitPayのソフトウェアエンジニアであり、主要なビットコインインフラストラクチャライブラリであるBitcoreを共同作成したことでも知られています。
またCopayの開発にも携わり、Streamiumアプリケーションを開発したチームを率いていました。
他のディセントラランドチームのメンバーとともに、OrdanoはアルゼンチンでVoltaireというブロックチェーン志向のハッカースペースも共同設立しています。
ディセントラランド|できること
①自由に探索できる
ユーザーはアバターを使って、開発が進む仮想空間ディセントラランドを探索することができます。
そしてディセントラランド内にはたくさんの魅力的な「地区」があります。
- 「Crypto Valley Art Gallery」
→デジタルアートを購入できる - 「Bartertown」
→メタバースの常連客と取引できる - 「Decentraland University」
→学習できる
②いろいろ購入できる

- LAND(土地)
- アバター用のウェアラブル
(衣類、靴、アクセサリーなど)
Marketplace(マーケットプレイス)では上記のようなアイテムを購入することができ、各取引はイーサリアムのブロックチェーンに記録されます。
③開発できる

ディセントラランドのソフトウェア開発キットを使って、購入した LAND内で 3Dコンテンツを開発できます。
オリジナルゲームを作ったり、建物を建てたり。
コーディングの知識がなくてもコンテンツをドラッグ&ドロップするだけで作ることができます。
ディセントラランド|仕組み
ディセントラランドは3つのネイティブトークンによって構成されています。
- MANA / ERC-20トークン
ディセントラランドの通貨として機能する - LAND / ERC-721トークン
LANDの区画を表す - ESTATE / ERC-721トークン
LANDの合併区画を表す
ERC-20とERC-721の違い

ERC-20 | ERC-721 | |
種類 | Fungible Tokens | Non-Fungible Tokens |
特徴 | 代替可能 | 代替え不可 |
例 | MANA、BNB | LAND、デジタルアート |
MANAのようなERC-20トークンは、他のERC-20トークンと互換性があるのでディセントラランド内の独自通貨となっています。
LANDやESTATEのようなERC-721トークンはNFTと呼ばれ独自性を持っているため互換性がありません。
つまり通貨としては機能せず、アバターやウェアラブル、LANDなど世界に一つだけのアイテムを作るのに適しています。
ディセントラランドを管理するDAO

DAO(Decentralized Autonomous Organization)は、主要な資産やスマートコントラクトを管理しています。
- コンテンツサーバー
- MANAトークン
- LANDコントラクト
- LANDオークション
- アバターウェアラブル
など
このようなディセントラランドを支配するすべての決定はDAOによって管理されています。
MANAを保有する人は、DAOを通じてディセントラランドが将来どのように運営されるかを決定する投票権を持ちます。(機能を追加するかどうか、販売手数料の配分、コンテンツの調整など)
ディセントラランド|MANAとは

MANAとはディセントラランドで使用できる通貨のことです。
MANA|概要
1 MANA | 約0.87ドル |
時価総額 | 約29.3億ドル |
時価総額 ランキング | 65位 |
最大供給量 | 2,644,403,343MANA |
MANAは供給量が決まっており、ユーザーが使えば使うほど流通量は減っていきます。
すると需要の増加と供給の減少によって、一般的に価格は高くなります。
資金調達に成功したMANA
40% | ユーザーへ初期販売 |
20% | コミュニティとパートナーに分配 |
20% | 創業チームに分配 |
20% | ディセントラランド財団に保持 |
2017年8月
ディセントラランドは約2,400万米ドルの資金をわずか35秒で調達し、ICO(イニシャルコインオファリング)の資金調達記録を塗り替えました。
※ICO(イニシャルコインオファリング)とは
事業資金を集めるために新しいオリジナルトークンを発行し、購入してもらうことでお金を集める資金調達方法。
ディセントラランド|LANDとは

ディセントラランドの土地のことです。
道路や広場を除くすべてのLANDを、ユーザーが自由に売買したり開発ができます。
LAND|概要

- 1区画はParsel(パーセル)という
- Parselのサイズは16×16 m
- 隣接するParselの合併でESTATE(エステート)となる
- Parsel、ESTATEは売買可能
- 92,598区画に分割・制限されている
- NFTとしてEthereumチェーン上に記録
LANDを購入すれば、その土地を完全かつ永久に所有することができます。
所有するLANDは自由に管理・開発することができますが、大きさに制限があります。
ESTATEにすると、より大きく開発することができるのです。
LAND|販売と流通

第1回2017年12月、第2回2018年12月の各オークションでユーザーへ LANDを販売しました。
それ以降は区画所有者がそれぞれで売っています。
ディセントラランド|LANDで何ができる?

- LANDを売買/賃貸
- アイテムやコンテンツを売買
- ゲームや音楽ライブに課金して参加
- 広告看板を出す
- など…
変動するLANDの価格

- 2019年初頭
500ドルで販売された土地は、1年後7,860ドル以上で取引された。 - 2021年1月
2,000ドルの土地が、2ヵ月後175,000ドル以上まで高騰。 - 2021年3月
LAND1区画は平均して6,900MANA(約63万円)で販売されている。
すでに大幅な値上がりを見せており、投資家から注目を集めています。
ディセントラランド|リスクとデメリット
手数料

デメリットは手数料の高さです。
LANDやアイテムの購入、アバターの名前を変更する際などにイーサリアム(Ethereum)の「ガス代」と呼ばれる手数料が発生します。
これはディセントラランドの課題というよりも、Ethereumが抱える課題であると言えます。
LANDの値段

LANDの相場は数万円〜数百万円とすでに高額で、誰もが気軽にLANDを購入して遊べるとはいえません。
すぐに数千万円台も出てくると思います…。
現実不動産と似ている

デジタルランドへの投資リスクは現実世界の不動産を購入するのとよく似ています。
ディセントラランドへの投資は今が時期なのかを十分見極める必要があります。
- 地価が暴落、売却できなくなる
- 人気エリアができて過疎化
- ディセントラランド自体が衰退
など…
人が集まり続ける空間を作ること。これは簡単ではありません。
加えて不動産が有限である現実世界とは異なり、仮想世界は無限だという点です。
ディセントラランド内での土地は有限です。
しかし「ディセントラランド2を新たに作る」なんてこともあり得る話なのです。
そしてディセントラランド以外の土地が買えるメタバースは他にもあるということです。
ディセントラランド ニュース
Adidas
Adidas×Karlie Klossコラボ
イベント参加者はアバター用のAdidasシューズを無料でゲットでき、世界中の人々が参加。

ATARI
ATARIゲームセンターオープン
スペースインベーダーで知られる米ゲーム会社ATARIのゲームセンターが稼働中。カジノの設置も予定されている。
Battle Racers
レースゲーム
ロックチェーンレースゲームのBattle Racersが公開された。
その他のニュース
・コインペディア
2021年末には1MANA4.5ドル(約488円)まで上がると予測。
・バイナンスと提携
仮想不動産オークションでBNBコイン支払いを受入れ、バイナンスのウォレットを通じイベントに参加できるようになった。
・Animoca Brandsと提携
2018年10月、50万ドル相当のMANAとAnimoca Brands株式をスワップし相互投資を行った。
・Transakと提携
クレジットカードでのMANA購入が可能となった。
まとめ

ディセントラランドは単なるゲームではありません。
- ソフトウェアはオープンソースで開発
- Ethereumチェーン上で構成
- スマートコントラクト採用
- IPFS(分散型ファイルシステム)使用
上記の理由から、事実上分散型のサービスと言えます。
その分散型デザインは、新しい種類のメタバースへの道を開きました。
仮想世界で生み出した価値を現実世界に移すことができるのは初めてのことなのです。
ただし非中央集権をうたう一方で、土地を生み出す権利を運営者が持っていたこと、ユーザーのMANA所有比率が全体の40%であることから中央集権的とも言えるのではないかという側面も伺えます。
進化と課題は常に隣り合わせ、今後も注目したいメタバースであることに間違いありません。